冷えの原因の一つに運動不足があります。
体熱の35~40%は筋肉で産生されています。運動をしないと熱をつくりだす筋肉量が減ってしまいます。また、筋肉と血液の流れには深い関係があります。運動不足になると体の代謝が落ち、血液の循環が悪くなって体温が下がります。つまり、血の流れが悪くなると冷え性になるわけです。
では、血行をよくするにはどうしたらよいのでしょうか?「血の流れ」というのは心臓の働きだけに左右されるわけではありません。心臓はポンプの働きをしていますが、血液を手足の先まで送り届けることはできても、逆に心臓まで押し戻すことはできません。血液を押し戻しているのは筋肉の力なのです。筋肉を動かすことによって血管を広げたり収縮させたりして血を押し戻しています。この働きをマッスルポンプといいます。
とくに、足の筋肉をよく動かすと、血液を心臓に戻す働きが強くなります。だからこそ、「足は第2の心臓」と呼ばれるのです。
運動不足で足の筋肉が衰えてくると下半身の血液循環が悪くなり、足腰が冷える傾向が強くなります。女性は男性に比べて一般にこの血液を押し戻すポンプの力が弱いことも冷え性が多い原因になっています。
運動不足になると血行が悪くなります。体温をつくるのは筋肉です。運動で筋肉を鍛えて、熱エネルギーを送る血液の循環をよくすることで冷えを解消しましょう。
汗をかくことの大切さ
運動が冷え性に効く理由は、血行がよくなり新陳代謝が高まる、汗をかくことで汗腺が活発になり免疫を司る皮膚の働きがよくなる、そして、筋肉を刺激することで自律神経の機能が活発になるからです。
しっかり汗を出して体温調節すると自律神経の調子が回復します。すると、夜には血管がほどよく締まるので、寝るときには適度な体温になります。
汗をかくということは私たちが生きていく上で欠かせません。体温調節ばかりではなく、老廃物や過剰塩分、有害な重金属などが汗と一緒に皮膚から排泄されているからです。
発汗のための運動には、ハードなトレーニングをする必要はありません。軽い運動でも1時間に約200グラムの汗が出ます。家の中でストレッチやエクササイズをするだけでも効果があります。
ウォーキングや背伸び運動などで、とくに足の筋肉を刺激することも大切です。水分や血液を運んでいるのは足の筋肉の力です。足の筋肉を動かすと、筋肉のポンプ機能が活発になって、下半身にとどこおっていた血液がスムーズに流れるようになります。
オフィスなどで長時間座りっぱなしでいたりすると血液循環は悪くなります。1時間に1回は席を立って、なるべく動いたり歩いたりするように心がけてください。