質の良い睡眠のカギは入眠直後の90分にある――寝始め90分の眠りの深さが、その晩全体の睡眠の質を示すという有力な説があります。というのも睡眠中に分泌される成長ホルモンの80%近くが、この寝始め90分の間に分泌されると言われるからです。
睡眠はまずノンレム睡眠(脳も体も眠っている状態)から始まり、約90分後にレム睡眠(脳は起きて体が眠っている状態)に替わります。ノンレム睡眠とレム睡眠は90分でワンセットで、この90分周期が4~5回繰り返されて6~8時間の睡眠が形作られます。最初のレム睡眠は5分、2回目は10分というように、前半の睡眠周期では比較的短かったレム睡眠が、後半につれて長くなっていきます。睡眠が進むほどレム睡眠の割合が多くなることで、脳を覚醒させる準備、目覚めの準備に入っていくわけです。
最初のノンレム睡眠の大きな働き
こうしたメカニズムから、最初のノンレム睡眠が全体を通して最も深い睡眠になります。そしてこのときに睡眠の持つ様々な働きが一番発揮されています。
・筋肉や骨を強くして代謝を高める成長ホルモンが最も分泌される
・日中にたまった眠りたいという欲求の大部分が放出される
・免疫力を高めて病気を予防する
・自律神経を整える
・大脳皮質に記憶を保存させる
・嫌な記憶を消去する
・脳の老廃物を除去し脳のコンディションを整える
朝起きたとき眠気が取れないとか、あまり眠った感じがしないといったことは、ノンレム睡眠の時間が短かったり、深いノンレム睡眠が得られていないために起きている場合が多いです。特に最初の90分間が崩れてしまうと、その晩全体の睡眠に悪影響が及び、睡眠の質を損ねてしまうことにつながります。
深いノンレム睡眠で睡眠リズムが整い、自律神経やホルモンの働きもよくなり、翌日のパフォーマンスも上がります。毎日のパフォーマンスアップのために、最初に深い眠りが訪れるよう、規則正しい睡眠習慣や快適な睡眠環境を整えていきましょう。