眠らない日本人の大きな損失、コロナを機会に睡眠を見直す

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Boring and monotonous work. A young beautiful Asian business woman, an office worker sits at a desk at a computer, is sad, bored, performs monotonous work. He holds his head with one hand.

日本人は世界一眠らない国民と言われます。2018年に報告されたOECD(経済協力開発機構)のデータでは、日本人の1日の平均睡眠時間は30カ国中もっとも短い7時間22分でした(第2位の韓国は7時間41分)。また、ウェアラブル・デバイスのポラール社が主要28カ国・地域の約600万人の製品ユーザー(2018年)のデータを分析した調査でも、日本人の平均睡眠時間は男性が6時間30分、女性が6時間40分で、ともに世界最短でした(最長はフィンランドで男性7時間24分、女性7時間45分)。 

国内の調査に目を向けると、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2018年)では、国民の約40%が睡眠時間6時間未満で、40代前後を中心に多くの人が睡眠不足に陥っているということです。 

 

睡眠不足とホルモンバランスの乱れ 

睡眠不足の状態は、たとえばホルモンに関することだけでも、人の体に次のような悪影響を及ぼします。 

・成長ホルモンが減る:睡眠中に分泌される成長ホルモンは、体の基礎代謝/新陳代謝、コラーゲンやタンパク質の合成、細胞の修復、免疫機能などと深く関係しています。たとえば成長ホルモンの分泌が減少し、肌のターンオーバーが遅くなると、シワやくすみなどのトラブルが増える原因にもなります。 

・メラトニンの分泌が減る:メラトニンは強力な抗酸化力をもつアンチエイジングホルモンで、成長ホルモンの分泌を促す役割もあります。成長ホルモンの効果を十分に発揮させるにはメラトニンの分泌が欠かせません。 

・ストレスホルモンの過剰分泌:睡眠不足が続くとストレスホルモンが過剰に分泌され、自律神経に乱れが生じることで、たとえばニキビや吹き出物など肌トラブルの原因にもなります。 

・レプチン濃度の低下:食欲を抑えるホルモンであるレプチンの濃度が低下し、代わりに食欲増進ホルモンであるグレリンの濃度が上昇します。レプチンの効きが悪くなり食欲が増大することで、食べ過ぎやカロリー超過に陥りやすくなります。 

 

社会経済に与える巨大な損失 

睡眠不足は個人だけでなく社会にも大きな損失をもたらします。 

米国ランド研究所の2016年の調査では、日本の睡眠不足による経済損失(仕事のパフォーマンス劣化による経営効率の低下など)は年間約15兆円に上ると試算されました。また、日本大学医学部の内山真教授の調査「睡眠障害の社会生活に及ぼす影響と経済損失」では、勤務中の眠気による作業効率の低下や欠勤、交通事故などの損失を合計すると約34690億円に達するとのことです。 

 

このように睡眠不足はまさに百害あって一利なし。コロナウイルスと共存しつつ社会経済活動を上手く進めていくためにも質の良い睡眠を十分に取ることを意識して、新しい社会様式に適応していきましょう。 

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